両方とも選ぶ
以下は、スワミ・ヴェーダ・バーラティによる原文を日本語に翻訳したものです。
二つの選択肢のあいだで迷ったら、両方選んでみましょう。そうすれば、プラスとマイナスの両方を引きつける磁石のような存在になれます。ヒンディー語には「両手にラドゥー(インドの丸いお菓子)を持つ」ということわざがあります。どちらも手に入れて得をする、という意味です。実は、宇宙には本当に対立しているものなどなく、すべては互いに補い合っています。量子物理学もそれを示しています。光は粒の性質と波の性質をあわせ持ち、ごく小さな粒子は同時に二つの場所に存在できるのです。
私は講演中、聴衆にちょっとした悪戯をします。話の途中で「今、何時ですか?」と尋ねると、誰かが時刻を教えてくれます。次に、その人に「私に、今何時か聞いてみてください」とお願いします。その人が尋ねると、私はこう答えます。「どこの時間ですか?」
今は夜でしょうか、昼でしょうか。答えは「両方」です。ここが昼なら、アメリカは夜。その逆もあります。
哲学者(あるいはグル=精神的な師)は、地球全体の一員として生きています。地球の北半球・南半球、あるいは右脳・左脳のどちらか一方だけに偏ることはできません。だから、両方を手にできるのです。
若い修行者だったころ、私は師のもとへ質問を持っていったものです。「マハラジジ(師への敬称)、これはこうすべきですか、それともああすべきですか?」師は私をじっと見つめ、心の底から響くような低い声で「そうだ!」と答えました。多くの場合、それが答えのすべてでした。
私は深く考え、二つの選択肢の対立をほどかなければなりませんでした。両方のよいところを取り入れた、共通の道を見つけるのです。こうして、両方を手にするのです。
ヨーガの師たち――広告会社に「師」に仕立て上げられた人ではなく、本物の師たち――は、日常の暮らしのなかで、弟子にあえて矛盾した選択を示すことがよくあります。弟子は、その矛盾を解きほぐす心の力を身につけなければなりません。それが「サマーダーナ」、つまり、ぶつかり合って見えるものをひとつにまとめ、物事を全体として捉えることです。
あなたの問いが、ただ答えられるのではなく、すっきり解消されますように。
言い換えると、次のようになります。
否定的に見えることのなかに隠れている、よい面を見つけましょう。
対立しがちな心のくせから自由になりましょう。そのために、対立をほどく方法を学びましょう。
思い込みや固定観念を手放しましょう。習慣の型が崩れ、同じ道ばかり走る心から抜け出せます。
人間関係、会話、出来事、そして人生の根本的な真理について、新しい前向きな気づきを育てましょう。
ヴェーダーンタが「ウパーディ」と呼ぶ、心と意識を縛るもの(思い込みや枠組み)から、自分を解き放ちましょう。
二つの対極のあいだには、いつも「第三の道」が隠れています。主張(テーゼ)と、それに反する主張(アンチテーゼ)のあいだに、両者を統合した答え(ジンテーゼ)が見つかるのです。
注釈:
ラドゥー:インドの伝統的な丸いお菓子。「両手にラドゥー」は、どちらも得をする、という意味の慣用表現。
マハラジジ:師に対する敬称。
サマーダーナ:サンスクリット語で「解決・調和・統合」の意味。
ウパーディ:ヴェーダーンタで、本来は限りない意識を、狭く限定して見せてしまう条件や枠組みのこと。



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